活性酸素と脳と老化


■脳と老化と活性酸素の関係・・・

「酸素」を多く消費する器官や臓器では、結果的に活性酸素が多く作られることになります。

呼吸によって得られた酸素の20%を消費する脳では、鉄イオンが多く含まれるため、鉄イオンに酸素が付いたり外れたりするときに活性酸素が発生します。

酸素と鉄の反応により(・OH)の活性酸素が多く生まれ、脳細胞や神経にダメージを与えます。
ヘモグロビンから酸素を細胞に移すときに活性酸素の傷害を受けますが、SODの働きによって安定的な過酸化水素に変化させます。

脳は不飽和脂肪酸が多く、酸化する事で過酸化脂質を生じやすくなります。
過酸化脂質の活性酸素は脳を攻撃するため、脳に関する血管や神経の疾病が惹き起こされる可能性が高いのです。脳組織には活性酸素を除去するカタラーゼが多く存在し、過酸化水素と反応して水に変えてくれます。

アルツハイマーや認知症、脳梗塞、パーキンソン病、てんかんや統合失調症などの精神病などに活性酸素は深く関わっているようなのです。

認知症のアルツハイマー症は神経細胞にアミロイドβが付着し、老人斑が発生しますが、この老人斑の発生に活性酸素が関わっているのです。

アミロイドβの毒性を抑えるために、ビタミンEやCなどの抗酸化物質を加えることで、活性酸素の過酸化水素を少なからず抑えることが出来るのです。
脳にとって酸化ストレスは禁忌の物質なのです。

ダウン症の患者さんはアルツハイマー症に罹患しやすいとのことですが、その背景には活性酸素の存在があります。
ダウン症の胎児の神経細胞には、活性酸素の量が3~4倍も高いことをハーバード大学医学部研究チームが発見したのです。神経細胞のニューロンが変性する過程で、活性酸素を除去する酵素を用いると、ある程度の防止が可能であることが判りました。


老化とともに記憶力が低下するパーキンソン病があります。
ぎこちない動きと無表情の顔つきが目立つ病ですが、高齢者の10%以上が罹患する脳神経伝達に異常をきたします。

パーキンソン病の患者の脳では黒質部位に変性が見られるのですが、黒質からは脳神経伝達物質であるドーパミンなるホルモンが放出されます。黒質は酸化ストレスを受けて活性酸素が産出され、ドーパミンの代謝に異常が生じて神経細胞が不能になると、パーキンソン病と診断されるのです。

この部位では活性酸素の除去酵素群の濃度が低下しているのです。
この変性に働く酵素群がカタラーゼやペルオキシターゼなどで、過酸化水素の活性酸素を除去する働きがあります。

パーキンソン病患者の多くはアルツハイマー病を併発しやすいと言われています。
その原因として考えられているのが、ヒドロキシラジカル(・OH)に結合した、最強の活性酸素「8-ヒドロキシデオキシグアノシン」です。
この活性酸素が、患者の脳から多量に確認されことからも、脳と活性酸素の相関関係が読み取れます。


■老化と寿命と活性酸素・・・
老化を科学すると、活性酸素にまつわる老化への対処策が見えくるようです。
まずは健康寿命の年齢まで生きることと、その後の平均寿命までを元気に過ごすことですが望まれます。
それぞれの生活スタイルに合った、健康であるための創意工夫が欠かせません。

それには老化を遅らせる対策を若年齢のころからの対策が必要なのです。
その最優先の対策とは、活性酸素を消去してくれる酵素の働きを十分に発揮させることに有ります

近年長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)なるものが話題ですが、
このサーチュイン遺伝子は食事のカロリーを抑えるほど活発に働き、生体を長生きさせるらしいのです。サーチュイン遺伝子が活性するとミトコンドリア内のマンガン-SODを積極的に作るため、活性酸素の消去能力が向上するのです。


老化はなぜ起こるのか・・・?
サーチュイン遺伝子の対極に老化遺伝子があって、これが老化を促しているとの研究報告があります。
遺伝子のDNAが傷つき、遺伝子のコピーミスが生じ、アミノ酸の合成によるタンパク質の変性や細胞分裂をコントロールしているテロメアの劣化によるもの・・・などが進むことで、老化が加速されるとも言われています。

加齢と共に体内の老廃物や有害物を排泄する機能が低下するために、代謝がスピードダウンするので老化が促進されるとも考えられています。

加齢と共に免疫力が低下することも見逃すことが出来ません。
体内に幾重にも整えられた免疫防御システムが、何らかの原因物質によってダメージを受けるのですが、その結果「老化と寿命」が左右されているらしいのです。

老化の原因は様々に考えらます。
その一つに生物が陸に棲むようになって以来、酸素との密なる付き合いが起因しているのでは・・・と考えられています。

呼吸によって得られた酸素のうち3%程度は有害な活性酸素になるようですが、この有害物はサイズが余りにも微小で、体内の細胞膜や細胞の内部組織、さらに粘膜や器官、臓器に悪影響を与えるのです。

飽食などによる過剰なエネルギー代謝の過程で、活性酸素は全身に悪影響を与え、確実にカラダを老化させるのです。どうやら活性酸素を消去する酵素や抗酸化物質、抗酸化酵素などが老化と寿命を左右する事につながるようです。

ガンの予防は、酸化ストレスをなるべき溜め込まないライフスタイルを、常日頃より心掛ける必要があるのですが、酸化ストレスを発生させない工夫として、食養生・運動養生・水養生などの生活習慣と環境を整える必要があるのです。

■参考図書
・活性酸素の話 永田親義著/講談社
・活性酸素・フリーラジカルのすべて 吉川敏一著/丸善
・酸化ストレスから身体をまもる 嵯峨井勝著/岩波書店
水と活性酸素 生命・フリーラジカル・環境研究会著/オーム社