活性酸素は健康の敵


■活性酸素は健康の敵・・・

ヒトは白血球などで活性酸素を作り出し、ウィルスや細菌などをやっつけてくれます。
また細胞内でエネルギーを生み出すミトコンドリアの動きを少なからず助けるなど、生命活動に重要な役割を果たしているのです。

問題は、私たちの健康を害する過剰な活性酸素です。この活性酸素は「毒性酸素」と呼ばれています。

この健康を害する活性酸素の知識を増やし、日常生活から活性酸素の対策を講ずれば、健康寿命と老化の予防が実現する可能性があるのです。

ヒトの体は65%程度が水で出来ています。
しかし水に電磁波や放射線、紫外線などが照射されると水素結合の手が切れてHとOHの不対電子となり、相手のいない分子や原子となります。これらをフリーラジカルと言い、酸素ラジカルとも呼ばれています。

放射線や電磁波、紫外線などによって叩き出された電子が酸素分子に合体され、スーパーオキシドラジカル(O2-)の活性酸素となります。最も有害な活性酸素はヒドロキシラジカル(・OH)と言われています。

ヒトは生体の恒常性(ホメオスタシス)を保つために、細胞内のエネルギー産出の生物であるミトコンドリアが糖を分解し、エネルギーの素であるATP(アデノシン3リン酸)が作られます。
この過程で、鉄によって受け継がれてきた電子が、シトクロム酸化酵素の働きで酸素原子に移り、スーパーオキシド(O2-)の活性酸素を生み出し、さらに2個の水素イオンと結びついて活性酸素の過酸化水素(H2O2)となり、その後「水」が産出されるのです。

細胞内の水が生まれるまでには、ミトコンドリアの中で発生した活性酸素が姿を変えつつ酸化反応を起こしてエネルギーを生み出します。
酸素はスーパーオキシド(O2-)へ、次に過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシラジカル(・OH)を経て水になります。

ミトコンドリアが何らかの理由で障害を受けると、活性酸素が細胞の外に漏れ出して、細胞や組織や器官、臓器にダメージを与えます。

消毒液として用いられている過酸化水素(H2O2)も、水に関係する活性酸素なのです。
さらに一重項酸素1O2と呼ばれる活性酸素があります。
これらの活性酸素は、電子の移動と結合の反応であり、酸化還元反応としての現象なのです。

体内でエネルギーが作られる時、電子が奪われる酸化と電子を与える還元が同時に起こります。この作業は複雑な体内酵素の存在と働きがあってこそ実現するのです。

酸化物とは物質が酸素と結合して酸化することですが、電子の授受からみると電子を奪われる反応となります。体内では、食物から複雑な経路により水素を得て、最も電子を取り込みやすい状態にします。


■過剰で有害な活性酸素とは・・・
正常な細胞内では、酸素はミトコンドリアの中で一度に4個の電子を貰って水になります。
故障のあるミトコンドリア内では一度に1個の電子しか貰えず、酸素に電子が1個付いてスーパーオキシド(O2-)と呼ばれる活性酸素になります。
これに対し、膵臓で作られるSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)と呼ばれる活性酸素の除去酵素が働いてくれます。
さらに次に電子を1個貰って、過酸化水素(H2O2)の活性酸素になります。

過酸化水素にはカタラーゼやグルタチオンペルオキシターゼなどの酵素が働き、最終的には合計4個の電子を受け取って無害な水へと変わるのが理想的なのですが、3個目の電子を貰う状態になると、ヒドロキシラジカル(・OH)が生まれ、活性酸素発生の悪循環に陥るのです。

細胞内で水が生まれる過程では、少量でも活性酸素が生じるのです。
活性酸素が生じるところでは酵素や抗酸化物の触媒反応により、酸化還元反応が常に起きているのです。

一般的に言われているのですが、呼吸した酸素の1~3%の活性酸素が作られるそうで、1年間に2kg以上もの活性酸素が作られると言われています。
しかも猛毒のヒドロキシラジカル(・OH)が作られ、健康を害する元凶、病気の元凶となるのです。


細胞に酸素と栄養が届かず虚血状態になると、一挙に活性酸素が増殖し、細胞が死にます。脳梗塞伽や心筋梗塞が代表的な疾患ですが、血液の再還流時にも活性酸素が大量に発生するのです。

この機序ですが、ATPが壊れて行く工程でアミノ酸に分解され、さらに尿酸の順に分解されます。このときキサンチンオキシダーゼなる酵素が酸素をスーパーオキシドに変化させ、さらに過酸化水素を経てヒドロキシラジカル(・OH)になります。
これらの活性酸素が遺伝子や細胞や組織を傷つけることになるのです。

抗酸化物質は、これら活性酸素の水素原子の移動を止め、安定的な水に変える働きが有ります。
カラダの中には、SODやカタラーゼ、グルタチオン、ペルオキシターゼなど活性酸素の動きを封じる酵素が事前に備わっているにもかかわらず、生活環境や生活習慣、食生活のゆがみから、過剰な活性酸素の酸化反応に毒される機会が増えるのです。


■酸化ストレスと活性酸素・・・
生体に直接悪影響を与える過剰の活性酸素は、食事によって体内に摂り入れた栄養素も活性酸素の悪影響を受けます。

脂質は活性酸素に曝露されて過酸化脂質に変化し、動脈硬化や心臓病の原因にもなります。
糖質はエネルギー源として蓄えられた後、余剰分は脂質に変化し、酸化物として体内にストレスとして残ります。

また酸化ストレスは外部からもやって来ます。
ウィルスは感染症を引き起こしますが、最近の研究で判って来たことは、死んだウィルスの遺伝子が分解する過程でスーパーオキシドの活性酸素を大量に発生させるのです。さらには最強のヒドロキシラジカル(・OH)が生じて、宿主の細胞、組織、臓器に傷害のダメージを与えるのです。


薬品の副作用も活性酸素が原因の一つだと言われています。

抗がん剤の副作用は良く知られるところですが、抗がん剤の構造式の中にキノンと呼ばれる亀の甲羅のような形をした部分があり、これが肺や肝臓に多く存在するシトクロム還元酵素によってセミンキノンラジカルに代謝されます。

この不安定なフリーラジカルが酸素に電子一個を渡し、この酸素がスーパーオキシド、さらにヒドロキシラジカル(・OH)の活性酸素になります。この活性酸素が正常な細胞までダメージを与え、様々な副作用を惹き起こします。


■生活環境と活性酸素・・・
なんと医薬品が活性酸素を作り出す事実を知りました。この事実は私たちの生活環境には、活性酸素が量産されているとも言える状態にあると言えます。

それぞれの発生のメカニズムは述べませんが、放射線の強いエネルギーが体内の水分子を破壊して活性酸素を生み出します。
紫外線でも同様のことが生じます。

アスベストを吸引すると体内で活性酸素が生じ、中皮種のガンを惹き起こします。
PM2.5などの超微粒子による肺胞へのダメージは、ディーゼル排気微粒子ガスの大気汚染物質と同様に肺や気道に多量の活性酸素が生じます。
喫煙でも、やはり活性酸素が肺にダメージを与えます。

カラダに備わっているホメオスタシス(生体の恒常性)が乱れる背景には、殆どのケースで活性酸素が関係していると予測できるのです。

■参考図書
・活性酸素の話 永田親義著/講談社
・活性酸素・フリーラジカルのすべて 吉川敏一著/丸善
・酸化ストレスから身体をまもる 嵯峨井勝著/岩波書店
水と活性酸素 生命・フリーラジカル・環境研究会著/オーム社