麹と酵母と乳酸菌


麹と酵母と乳酸菌・・・

<麹菌>
麹菌は、日本酒や醤油、味噌、米酢など日本料理には欠かせない食品を支えている微生物なのです。
コウジカビは米や麦、大豆などの穀類の糠などに付着して繁殖し、米麹・麦麹・豆麹として食品の醗酵に用いられてきました。

この醗酵技術は東アジア特有のもののようです。

麹菌はカビであり、糸状菌です。

麹カビ(麹菌:ニホンコウジカビ)には、ヒトに有益な善玉カビと腐敗に導く悪玉カビがあり、清酒や味噌、醤油などの醗酵食品では善玉カビの麹の働きが欠かせません。

さらに麹菌はビタミン類やクエン酸、γアミノ酪酸、酵素の機能性物質を有しているようです。
中でも麹菌が生み出す酵素はアミノ酸が主体の低分子体で、醗酵に欠かせない有機化合物として重要な役割を果たします


弱酸性のpH(水素イオン濃度)7前後で栄養源や水などの条件が整うと、25℃~30℃位の温度環境の中で増殖します。
麹の栄養源は炭素有機物としてのデンプンやブドウ糖などを必要とします。また窒素源としてアミノ酸や硫酸アンモニウムが欠かせません。
さらに無機性要素としてはリン・マグネシウム・カリウム・鉄・銅・亜鉛・マンガンなどの微量ミネラルを必要とします


麹菌は50℃程度で菌体としては死滅するのですが、カビによる分解力は60℃程度まで、さらに麹の胞子は100℃前後まで活発に生き続けるのです。
この働きは増殖した麹菌がアミラーゼやプロテアーゼなどの各種の酵素を産出し、これらの酵素の働きによって分解力が持続するのです

日本酒の製造ではデンプンを分解し、糖化させる酵素を増殖させる必要があります。
醤油や味噌は大豆を用いるので、大豆タンパクを分解する酵素や麦などの繊維を分解するための酵素を多く増殖する必要があります。

<酵母菌>
酵母は、日本酒やビールを作るために欠かせない菌です。
醗酵食品の原材料に含まれる糖分をアルコールと炭酸ガスに分解しながら醗酵を続けます。

アルコールを分解しながら進む醗酵が「アルコール醗酵」です。醸造酒の中でも比較的アルコール度の高い清酒造りに酵母は重要な役割を果たしているのです。

日本の代表的な醗酵菌である酵母菌は、酵母の細胞壁を構成するβーグルカンが腸管免疫を賦活する働きが有り、抗腫瘍性に有効な役割を果たしていることが確認されています。

パン作りには、パン酵母が用いられます。パン生地の膨らみはアルコール醗酵によって分解された炭酸ガスによるものです。殆どの酵母は酸素がある環境で生育が活発になりますが、酸素がなくてもアルコール醗酵(アルコールを分解しながら進む醗酵)により活動する事ができます。

味噌を作るときには味噌酵母が使われます。
作りたい醗酵食品の原材料によって用いる酵母菌の種類を使い分けることになります。

酵母菌の耐熱性は60℃前後で死滅するものが殆どで、pH4.0程度の酸性環境で増殖します。乳酸菌などとの共生環境では、pH3前後の酸性でも活動を続けます。

酵母菌の優れた働きは、食品や食材の分解作用に止まらず、麹菌が作り出した糖分や他の微生物が生成した糖分をエサにして栄養成分を低分子化してくれます。
また熟成の過程で人間の生体反応に有益なアミノ酸やビタミン、有機酸などを合成し、さらに腸内の善玉菌の増殖を応援し、腸内環境を整え、βグルカンの働きなどで腸内免疫力を向上させてくれる働きが整えられている点にあるのです。

この合成作用には「酸素」が必要です。
酸素が枯渇した環境では合成は止まり、アルコールの生成が始まります。

アルコールが不要な食材で酵母菌による醗酵を継続させるには、タイミングを見計らっての酸素の補給が欠かせないのです。
但し健康食品が酸素(空気)に触れると一般性菌や雑菌が入りやすくなり、腐敗しやすくなります。
結果的に常温での保存は賞味期限が短くなってしますのです。


<乳酸菌>
乳酸菌は細菌の一種です。糖分をエサにして乳酸を作り出します。
乳酸の水素イオン濃度はpH2.0~2.5の強酸性ですから、他の細菌を殺すこともできるのです。さらに酸性度の高い環境では乳酸菌は死滅するのですが、胃酸で死滅を免れる乳酸菌の開発が進んでいます。

乳酸菌の増殖では40℃~50℃の範囲が適温で、100℃でも死滅しません。
乳酸菌は酸素がなくても生育しますが、酸素分圧は低い酸素分圧において活動がより活発になります。

糠漬けのように毎日切り返すのは、混ぜることによって酸素が供給される状態を作り出しています。
乳酸菌はもともと嫌気性ですが、ほんの僅かの酸素が補給されることで乳酸菌の働きが持続するのです。