ガン食事療法の原則


■有益なガン食事療法・・・
現代医学では、ガン治療にあたって化学療法、放射線療法、外科療法の3大療法が広く知られています。
しかし代替療法のページでもご紹介の通り、食の養生法である「ガンの食事療法」が我が国においても戦前より存在していたのです。

近年においては医事評論家の今村光一氏によって翻訳されたマックス・ゲルソンの「ガン食事療法全書」徳間書店(1989) が発行されて以来、野菜ジュースがにわかに注目を浴びはじめました。

ゲルソンの治癒効果が高かったこともあり、昨今では野菜ジュースがブームのごとく普及したのでした。

日本国内では、野菜の「絞り汁」とか「煮込み汁」の呼び名で、養生家や一部の医師の間で取り上げられましたが、味もネーミングもいまいちでした。

それでも理屈にかなった摂食では、ガンや心臓病などの重篤な病から回復されたケースも後を絶たなかったのです。

大阪八尾市の病院長で、多数の著書で食事療法を説いた甲田光雄医師は、日本屈指の養生研究家であった西勝造氏の薫陶を受け、西洋医学と食事療法を併せ持った医療活動を行なわれ、何千人もの重病患者を助けてきたのでした。


■甲田医師と済陽(わたよう)医師の示唆に富むアドバイス・・・


甲田医師は無塩、添加物なしの野菜の搾り汁を積極的に飲ませ、ビタミン・ミネラル・食物繊維・アミノ酸や酵素を多く含む植物性食品を補給すると共に、豆腐をドンドン食べさせました

大豆製品の植物性タンパク質含有に着目し、栄養欠乏を防ぐべく血液中のアルブミン確保に努められたのです。

近年ガンと食事に関する書籍で注目の済陽高穂(わたようたかほ)医師は、ガン患者を対象とした食事療法を提案され、治療結果を数字で示されました。

済陽医師によれば、免疫力の70%は食事で高めることが出来るとのことです。実際にガン患者さんに済陽式ガン食事療法で結果を出しておられるのです。その有効率は62.5%だそうです


さらに食事療法が効果を挙げる確率が高いのは、乳がん、悪性リンパ腫、前立腺がんでは70~90%を超える高い率で治癒されているとのことです。

食事療法をより確実なものとするために、白血球数とリンパ球数に注目されました。
中でもガンの晩期の患者さんで、リンパ球数が1327の増減441個の患者さんでは、63人の内40名がガンより生還されたとのことです。

そしてこの方々の70%は食養生でリンパ球数を増やすことが出来たとのことです
なんと食養生のガンに対する効果が証明されたわけです。

リンパ球を増やすには、血中のインターフェロンα産生能を担う物質が必要とのことです。この物質を増やすのに大量の野菜・果物ジュースが不可欠なのです。

マックス・ゲルソンの「ゲルソン食事療法」も、ガン患者は一日に1.5リットル~2.0リットルのジュースと摂るようにアドバイスしています。

大量のジュースを飲むには、野菜のセルロースが残るミキサーよりも、ジューサーで絞ったジュースがお腹に満腹感を与えず、消化に負担が掛からないため、ジューサーの利用を奨めているのです。

■ガンの劇的寛解例に学ぶ・・・

驚くべき長期生存者に共通する食生活(文芸春秋より)
平成15年11月6日東大病院中央診療棟の大会議室で医療従事者向けのガン講演会が行われました。その模様を文芸春秋(16年6月号)が詳しく伝えています。
主催は社団法人「日本ガンと炎症・代謝研究会」で、講演者は京大大学院医学部呼吸器外科教授を退官し、自ら京都にクリニックを開設された和田洋巳(ひろみ)医師です。(からすま和田クリニック)

その内容ですが、標準ガン治療の限界と矛盾はガンの劇的寛解例を学ぶことで、ガン治療の新たなパラダイムシフトが導かれる・・・とするものです。
そしてその帰結は、当HPが主張提案する食養生(食生活)に辿り着くのでした。

和田洋巳医師の新たなアプローチは、ガンの劇的寛解患者さんの声に素直に耳を傾け、それらを科学的に検証していく作業を積み重ねることでした。

学術誌の論文を調べ、エビデンスを確保しつつ、患者さんの希望する代替補完療法も治療法に加えるというものでした。

和田医師のガン診断では、以下の診断方法が用いられます。

1. ガンの勢いを診断するために、各種のガンに特異的な腫瘍マーカー値を確認する
2. 炎症の度合いを調べるCRP値を確認する
3. 免疫力を白血球に占めるリンパ球の割合で確認する
4. 細胞環境の酸性度を尿のpH値で確認する
5. 血液中のブドウ糖の量を血糖値で確認する
6. タンパク質の栄養状態をアルブミン値で確認する

これらの数値を確認した上で治療メニューが検討されるのですが、その治療の主たる方法がなんと食生活の改善メニューと実践方法にあるのです。

和田医師の診断方法と治療内容は、前述の甲田光雄医師や済陽高穂医師の治療法と相通じるところがあります。
ガンの代替補完療法では何よりも食養生・食生活の工夫が欠かせない・・・と言っても過言ではありません。

講演会で報告された乳癌患者さんの治療例があります。
33歳の女性で2013年9月に乳癌の手術、15年8月に肝転移が分かり和田先生の初診を受けます。
好物の甘いもの(チョコレート)と乳製品(ヨーグルト)を大量摂取していたため、直ちに摂食中止し食生活全般を改善指導します。

2ヵ月後には腫瘍マーカーのCEAは7.5から1.0へと正常値に改善したとのこと。
しかし白血球など免疫系の数値が改善されず、以前手術した病院で勧められた抗がん剤を中止させたところ、3ヵ月後にはCTやPETの画像上から肝転移の影が消失しました。
その後も現在に至るまで再発巣が現れることなく寛解が続いているのだそうです。

その他のガン患者さんでも同様のケースが見られるのです。
和田医師が京大病院の弟子たちに、このガンの劇的寛解例を基に治療方法の見直しをアドバイスしても受け入れられず、旧来のガン治療が行われているのです。

和田医師も自身スキルス性の胃ガンで3分の2を切除されていますが、治療法はガンの食事療法と免疫賦活剤のレンチナン注射、経口抗がん剤TS-1をたまに少量服用するだけだそうです。ガン患者にとって何よりも食生活が予防と治療に効果的かを体験されているのです。

■ガンを惹き起こす5つのファクター・・・

和田医師は、公開されている研究論文をもとにガンの劇的寛解例を分析、研究した結果、ガン細胞が増殖する微細環境への影響は少なくとも「5つのファクター」に整理できることが分かったそうです。

そして5つのファクターには引き金となる物質が存在しているとのことです。

1. 塩分に含まれるナトリウム
ガン細胞はナトリウムを取り込み、酸を排出して微細環境を酸性に変えることで、ガン自身の細胞が増殖し易い条件を作り出す。この事実から塩分の少ない食生活によってガンを予防することが可能となる。

2. ブドウ糖
ガン細胞はブドウ糖を運ぶトランスポーターが正常細胞の10倍も存在するため、ガン細胞増殖のエネルギー源を補給し易くなる。玄米食が勧められるのは糖の吸収を緩やかにするため。
  
3. 乳製品に含まれるIGF-1
IGF-1は、強力な成長促進物質でガン細胞の増殖に作用する。このIGF-1は牛乳や乳製品に大量に含まれている。ガン患者の多くは甘いものと乳製品を多量に摂食しているケースが目立つ。ガン患者には甘いものと乳製品の大量摂取を禁忌としている。

4. 脂肪酸
ガン細胞は、分裂と増殖に必要な脂肪酸の実に9割以上を自前で合成している。脂肪酸合成酵素の働きを抑えるトリテルペイノイドは果物から得られるため、果物を多く食べることを勧める。

5. 炎症に関係するNF-kB
炎症の元凶であるNF-kBですが、炎症は活性酸素を発生させるため速やかな改善が望まれる。炎症化を抑制するパルテノライドという成分が夏白菊などのハーブなどにふくまれている。

これらの5つファクターについては、科学的根拠を示す数多くの学術論文が存在しています。当HPでは随所に食養生の有効性を説いていますが、次に紹介する済陽医師のガン食事療法のアドバイスと併せてご理解いただければ幸いです。

乳製品の大量摂取の有害性については当HPのコリンキャンベル博士の養生訓「牛乳が怪しい」をご参照ください。


■済陽(わたよう)医師のガン食事療法の8原則とは・・・

原則-① <塩分制限 限りなく無塩に近づける>

このアドバイスはゲルソン療法や甲田医師と同様の主張です。
実際に挑戦すると大変厳しい条件であることがご理解いただけます。
ガンの進行状態に応じて3ヶ月~半年間、1年、数年の期間を限定しての実践をお奨めします。

原則-② <動物性タンパク質や脂肪の摂取制限>
このアドバイスもゲルソンや甲田医師に見られます。
またガンの食事療法を勧められる組織では殆どが同じ主張です。
半年から年間の、これも期間を限定して行なうことをお奨めします。
意外と簡単に実践可能です。
動物性食品への疑問はこちらをご覧ください。(賢人の養生訓:キャンベル博士の養生)

原則-③ <新鮮で無農薬・低農薬の野菜・果物を大量に摂取する>
ゲルソンも厳格に材料を選んでいました。
ジュースとしての量は1日1.5リットル~2リットルを勧められます。
無農薬ですべての食材を集めるのは難しいです。
野菜の洗い方に「50℃洗い」があるので、これをお奨めします

原則-④ <穀物は玄米や全粒粉で、芋、豆類も摂取>

この原則では、ビタミン、ミネラルを豊富に補給します。
また抗酸化物質や第6の栄養素と言われる食物繊維を豊富に摂取します。

食養生をアドバイスする側としては、誠に当然の事柄です。

原則-⑤ <乳酸菌(ヨーグルト)、海藻、キノコの摂取>
乳酸菌は腸内細菌を増やす目的ですが、ヨーグルトは各種のメーカーをバラバラに選んで摂取すること。
菌の種類が異なるように選ぶのです。
ミネラルが豊富に取れることや、フコイダンやβグルカンなどは抗がん物質として認められています。
出来れば動物性食品のヨーグルトよりは、植物性食品をベースにした醗酵食品をお奨めします。


原則-⑥ <ハチミツ・レモン・ビール酵母を摂る>
ハチミツに含まれる花粉は免疫の増強に役立ち、クエン酸回路を賦活氏、細胞の代謝を活性化するようです。
レモンはビタミンCのほかガンの抑制に欠かせない成分が豊富。
1日に2個の摂取を目安に・・・。

ビール酵母食品とは、エビオス錠のことです。
ビール酵母はたんぱく質が豊富で、動物性タンパク質を制限する食事療法に適しているとのことです。
済陽教授が進める唯一の健康食品だそうです。
確かこのアドバイスは甲田医師の養生法で採用されていたと思います。


私見ですが、ビール酵母より“醗酵米ぬかサプリ”がお奨めだと思います。
理由ですが、米から作った酵母により酒粕が出来上がり、米糠を醗酵させて乳酸菌を増やし、ステビアの持つ免疫草としての働きがプラスされるからです。
また食物繊維もビール酵母に勝ります。
日本人には縄文時代から続く米麹、米酵母菌が、遺伝子的にも相性が良いのではと思います。

原則-⑦ <オリーブ油かゴマ油を活用>
食事療法では油脂の使用が制限されます。
また使用の油脂は不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸がお奨めなのも、殆どの食事療法で共通です。

意外と注意されないのが植物性油脂です。
合成されたサラダ油があり、要注意です。
n-6系の不飽和脂肪酸を摂りすぎるのも要注意です。

一価不飽和脂肪酸のオリーブ油やゴマ油にn-3系不飽和脂肪酸をバランスよく摂る事です。
サラダにはn-3系を。揚げ物、炒め物には一価のオリーブ油やゴマ油を使いましょう・・・


原則-⑧ <自然水を飲む
ここは大いに問題ありですね・・・。
水道水でも汚れを取り、水分子の結合構造が六員環構造に改質した水ならOKなのです。
水の見極め方は“水の養生法”に記していますので、是非ご覧ください。
ナチュラルミネラルウォーターでも、お奨めできない水が存在するのも事実です。


以上が済陽医師のガン食事療法の8原則です。
実のところ、これと言って目新しいところはありませんが、殆ど欠かせない原則です。
マックス・ゲルソンや西勝造氏、甲田医師の著書に見られる食の養生法に通じる原則なのです。

しかし外科医としての済陽医師は、臨床でガン患者さんの改善状況を数字で示しました。
そしてその条件となる生理的な背景も数値で示したのです。
この点が画期的なのです。

白血球数とリンパ球数と目安となる数値を確立し、食養生の効果を数字に落とし込んだところが優れているのです。
ガン患者さんも62.5%の方が食事療法で改善するのですから、大いにチャレンジしても良いのでは・・・と考えます。


■ガン食事療法に欠かせない肝機能の向上・・・
マックス・ゲルソン博士によるガン食事療法は世界中のガン患者さんに福音をもたらしました。
野菜ジュースの大量摂取や塩分摂取の制限、動物性タンパク質を厳禁とする厳格なまでの食事内容、有害物を腸内に残さない「コーヒー浣腸」の実施などを組み合わせることで、ガンに限らす心臓病や糖尿病、膠原病などの自己免疫疾患などにも有効である事を実証してきました。

またガン患者さんの共通点は肝機能が低下しているところにあると、ゲルソン博士は指摘しています。よく知られている通り肝臓は栄養素を合成し足り、有害物や老廃物を分解し、解毒する働きが有ります。

ゲルソン博士は、ガンは全身病であり、肝機能の低下によって栄養障害や代謝障害が認められると断言します。
むしろ肝機能が低下するためにガンが発生していると考えられる・・・と述べています。

この肝臓の機能を回復させ、向上に導く食生活、食養生こそがガンやガン体質を克服することにつながると考えられます。
肝臓の働きを円滑にしているのは酵素群と補酵素(コエンザイム)にビタミンB群とミネラル成分です。

酵素は、腸内細菌が産出する酵素群や、食生活からの植物酵素や醗酵食品から得られる酵素に、さらに酵素の働きを応援してくれる500種以上もの補酵素が生命活動に欠かせない代謝を司っているのです。

ゲルソンの奨める野菜果物ジュースは、ビタミンやミネラル(カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛など)の補給に優れていますし、玄米などを工夫することでビタミンB群(B1,B2,B6,B12など)の大量補給に役立つのです

精神科医であり、自らのガン闘病をゲルソン食事療法と玄米菜食で克服された星野仁彦博士は、食養生によるガン体質の変化を多数の出版物で告白し、アドバイスされています。