腸内細菌と酵素パワー


■腸は想像を超える働き者である・・・

菌群は日常生活に蔓延しているのですが、中でも腸内細菌の数はずば抜けて多いのです。
腸は7~9メートルもある長い臓器ですが、十二指腸の次に位置する「空腸」は絨毛(じゅうもう)がビッシリと整い、消化吸収を主に司り、次の腸である回腸にも絨毛は免疫組織が働いて免疫物質を作っています。

この絨毛は約300万本あり、さらに1本の絨毛には5000個もの栄養を吸収する細胞があるのです。

これら絨毛の間の基底にパイエル板(集合リンパ節)が回腸を中心に、腸管全体で140ヶ所(他説では180~240)ほどあって、ここが腸の免疫防御システムとして働いてくれるところです。


この絨毛には、さらに細かい“微絨毛”なる器官が存在し、ここ細胞が大変重要な免疫防御機構として重要な働きをしている事が分かりました。
その働きを担っているのがM細胞(腸管上皮細胞)と呼ばれるもので、マクロファージや樹状細胞と反応し、リンパ球のキラーT細胞やNK細胞を働かせて免疫反応を促し、原菌の駆除を積極的に行なっています。
そしてこの回腸の働きを活性化するのが乳酸菌で、乳酸を作る腸内細菌です。大腸に棲息するのが善玉菌であるビフィズス菌で、有機酸である酢酸を作ってくれるのです。
ビフィズス菌が作り出す酢酸が、大腸内の悪玉菌の働きを抑制してくれるのです。

大腸の上行と横行結腸は水と電解質などのミネラル成分を吸収し、下行結腸が便を作っていますが、この部位の善玉菌はビフィズス菌が中心で、悪玉菌では大腸菌やウェルッシュ菌などが住み着きます。

その菌の数はおおよそ1000兆とされ、その種類は1000種にも及ぶのだそうです。
人間の細胞の数は60兆とされていますから、細胞の数より多く存在するのです。


●腸内細菌の世界・・・
腸内細菌でつとに有名なビフィズス菌ですが、善玉菌の代表的な腸内細菌でもあります。ビフィズス菌は空気を嫌う嫌気性の菌で、腸内細菌の多くがこの嫌気タイプの菌なのです。

これとは反対に酸素を好む菌を“好気性細菌”と言いますが、大腸菌はどちらにも適応する通性タイプで、このため腸内で盛んに繁殖し、酸素が消費され後に嫌気性の細菌が繁殖し始めます。腸内では酸素が先に消化されるため嫌気性細菌が圧倒的に多く繁殖します。


腸の健康に欠かせないのが、善玉菌である乳酸菌群やウェルッシュ菌の増殖とその働きにあるのですが、善玉と悪玉との区別は人体に有益な物質を産出し、毒素を排泄してくれる働きが活発になるか・・・にあります。
そのメカニズムで欠かせないのが“日和見菌”の存在です。

<見逃せない日和見菌・・・>

よく知られているビフィズス菌は善玉菌の代表ともいえる存在です。
悪玉菌の代表格は大腸菌やウェルッシュ菌でしょうか・・・。

この中間に日和見菌が存在するのですが、その量はダントツで、腸内細菌の約7割が日和見菌なのだそうです。
この日和見菌が善玉菌の味方になれば、腸内環境は俄然良い方向に整うことになるのです


■日和見菌を味方に付ける・・・
善玉菌の働きが優位になるためには、善玉菌が好むエサや棲み処となる水溶性の食物繊維や植物性の食物線維が欠かせません。
善玉菌が腸内に充実すれば病原菌の侵入を防ぎ、免疫防御システムが整い、さらに蠕動運動を円滑にして便秘の予防や老廃物の排泄がスムーズに行なわれます。

悪玉菌は動物性食品が過剰に摂取されると腸内のタンパク質を腐敗させ、有害物質であるインドールやスカトール、アンモニア、アミンなどを産出し、便秘や代謝異常、免疫疾患、生活習慣病、老化などを引き起こす原因となります。

そしてこれらの菌の間にあって、どちらの環境にもなびく日和見菌がおり、この菌を覚醒させて味方に付けることで腸内環境が決定付けられる事になります。
バクテロイデスやクロストリジウム、ユウバクテリウムなどの嫌気性細菌が日和見菌の代表格ですが、悪玉菌の繁殖と共に同調し易い傾向にあるようです。

最近になってこの日和見菌の中でも”クロストリジウム属”の菌が、免疫抑制に欠かせない「制御性T細胞」を強力に増やすことが発見されました。
慶応大学の本田賢也教授が発見した「制御性T細胞」を増やすヒトの腸内細菌を17種類発見し、これらはすべて”クロストリジウム属”の日和見菌だったのです。

最近の研究で、フィーカリバクテリウムなる日和見菌が注目されていますが、長寿者のお腹にこの菌が多く存在していることが分かってきました。
ヒトの腸には1000類もの菌が棲息し、糖尿病やアレルギー、自閉症、さらに難病治療に役立つ働きがある菌の働きが、本田教授によって解明されようとしています。


■発酵食品と食物繊維で善玉菌を増やそう・・・

善玉菌を増やす方法として乳酸醗酵食品を補給することが奨められていますが、この生きた乳酸菌を摂り入れる方法を“プロバイオテクス”といいます。
さらにお腹のビフィズス菌を増やす方法に“プレバイオテクス”があります。この方法はお腹に住み着いているビフィズス菌に、オリゴ糖などの餌や食物繊維を補給する方法です。

これらの2つの方法が確実に効果を発揮するかは、かなりの個人差があるのですが、腸内細菌を増やし、排便を促すための確実な効果を得るには、この2つの方法をミックスする必要があります。

食物繊維も不溶性の繊維を用いることや乳酸菌も確実に大腸まで届くものが欠かせないのですが、この機能に植物に含まれるファイトケミカル(植物生理活性物質)と合体させて、腸内環境を整える機能性食品を“バイオジェニックス”として、その効果を提案されています。

“醗酵米ぬかサプリ”は、バイオジェニックスの考えの下に開発されましたが、麹菌や酵母による醗酵と、米糠などの食物繊維で腸内細菌は増殖され、腸内環境の整備は数段アップされる事になります。

何より即効的に実感できるのは円滑な排便です。
スムーズな排便と便量が増えるところに健康補助食品としての使用感が確実に得られます。
これにより腸内の環境が整うことで、さらに腸は免疫機能を刺激して「免疫の最適化現象=腸管免疫」が整うことにつながります

腸内環境が乱れると、悪玉菌が大腸に進入して増え、悪玉菌によって生じた毒素は血液を汚染し、体内の組織、器官、腺、臓器を徐々に破していくのです。腸はカラダの全ての組織や器官、臓器とネットワークを構成しているのです。


■老化する腸内環境・・・
腸内細菌の善玉菌は赤ちゃんの時が最も多く、年齢とともに減少するのだそうです。
中年から老年期に掛けて徐々に減少しますが、この減少と免疫力の低下曲線とは相通じるところがあります。
中年期や老年期に健康を害し病気がちになると、悪玉菌の割合が増え、善玉菌の数を上回ることになるので、中年以降は意識して腸内環境を常に善玉菌優位の状態に整えておく必要があるのです。


おおよそ赤ちゃんの時期には糞便1g当り1000億を上回るビフィズス菌が存在するのだそうですが、壮年から老年に掛けて徐々に減少し、1g当り800億個を切るまでに減少するようです。

悪玉菌は1g当り300億個から徐々に増加し、老年期には800億に迫り、善玉菌と逆転現象が起こります。
一方バクテロデスやユウバクテリウムなど日和見菌は離乳期から1g当り約1100億個程度に増え、その後老年に至るまで変動する変化が見られません。

つまり日和見菌は善玉菌と悪玉菌の活動の様子を伺いながら、ヌクヌクと日和見を決め込んでいるのです。

 

■参考図書
・人の健康は腸内細菌で決まる   光岡知足著/技術評価社
・健康長寿のための食生活  光岡知足著/岩波アクティブ新書
・腸は考える  藤田恒夫著/岩波書店
・病気にならない、太らない・食べ方の習慣 済陽高穂著/だいわ文庫