腸内細菌は健康のバロメーター


■腸内細菌は健康のバロメーター・・・

人間の腸内では、善玉菌の中でもビフィズス菌が乳酸桿菌よりも数が多く、より重要な働きをしています。
そしてこのビフィズス菌を一生涯優位に保つ必要があるのです。
これらの善玉菌の働きには、生命維持にも健康維持に欠かせない重要な働きがあります。


光岡知足博士は、”善玉菌の有益性”について、    

  1.ビタミンの合成      
  2.消化吸収の補助     
  3.病原菌の感染予防     
  4.免疫機能の刺激

を主に挙げ、 ”悪玉菌の有害性”については、    

  1.腸内腐敗      
  2.細菌の毒素産生     
  3.発ガン物質の産生

などを挙げられています。

腸内細菌のバランスが整うと、整腸効果から便秘や下痢の改善がすすみ、さらに全身にわたってその効果が及びます。
その有効範囲は発育障害、肝臓障害、動脈硬化、高血圧、ガン、自己免疫疾患、免疫抑制等の予防や改善です。

これらの様々な病気を予防してくれる働きが確認されているのです。

光岡博士の研究からですが、「ヒトの腸で有用に働いているのはビフィズス菌である。」との結論を、膨大な研究から裏付けられました。

腸内環境をビフィズス菌などの善玉菌の腸内細菌で整えると、日和見菌を見方付け全身の健康機能がアップします。
その環境を整える条件はファイトケミカル群を含む野菜や植物性食品、発酵食品、食物繊維が豊富な食品などです。

さらに栄養バランスの整った食事の選択にあったのです。

■腸内細菌とガンの関係・・・


動物性食品の高脂肪食や高カロリー食は、悪玉菌の腸内細菌を増やす事につながります。

欧米人の食習慣は動物性食品が中心ですが、動物性食品は酸化傾向に導かれ易いので、腸内で腐敗菌を増やすことになります。

腐敗し易い消化物を腸内に長く滞留させておくことは健康を害するもとでもあり、このため西洋人は腸の長さが日本人よりも短いのは、このあたりに理由がありそうです。

乳酸菌の代表格がビフィズス菌ですが、近年この菌がガンの抑制に働く事が分かって来ました。
また善玉菌が免疫物質を豊富に作り出している事実も解明され、腸内環境を整えることはガンの予防に役立つことも分かって来ました

悪玉菌が増えるケースは、動物性食品の過剰な摂取とストレスが主な原因ですが、ガン患者の腸内細菌を検査して、その内容が健常者と大いに異なる点が光岡知足博士によって指摘されています。

胃ガンでは、ウェルッシュ菌や腸球菌などの悪玉菌が多い傾向にあり、さらに善玉菌のうちビフィズス菌や日和見菌のクロストリジウムやバクテロイデスが少ない傾向にあるのだそうです。

またブドウ球菌や緑膿菌も多く検出されるようです。

大腸ガンでは、バクテロイデスなどの日和見菌などの菌数が多いのだそうです。
またガンが発症した部位によって菌の種類や菌数に違いが見られるそうです。
さらに潰瘍性大腸炎やクローン病などでは、日和見菌が減少し、大腸菌などが増加する傾向にある事が解っています。

これらの事実からも日々の糞便の状態を観察することで、健康状態を伺いする事が出来るのです。

■腸管免疫をアップする・・・

善玉菌を充実させると、腸管免疫といわれる腸内の免疫機能を向上することができると、光岡知足博士は説いておられます。
光岡博士は“バイオジェニックス”の概念を提案されていますが、その内容とは、死菌を含め乳酸菌の菌体成分が腸内免疫を刺激すると、体内の生理活性が高まり、カラダを防御するための免疫防御機能が格段にアップするのだそうです。

人間にとって望ましい免疫の最適化現象は、腸管免疫を整えることが条件となるようです。

そのベースになるのは腸内細菌にある・・・と言えるのです。
免疫の最適化現象の一端を担う免疫細胞の白血球は、その60%が小腸の内壁に集まっているとの事です。
腸管は人体の中でも最も偉大な免疫器官であり、腸は実に大切な生体防御の臓器なのです。
ここに善玉の腸内細菌や死菌体が働いているのです。


■腸管免疫と腸内細菌・・・
小腸の壁には絨毛と呼ばれる微小の突起物でビッシリと並んでいます。腸は栄養素の吸収だけでなく、この絨毛の付け根の低地は免疫細胞の終結場所でもあります。

このパイエル板の内側に、T細胞やB細胞などのリンパ球やマクロファージが働いています。
この腸内環境から抗体として働くIgAが作られます。

これが代表的な獲得免疫として働きます。

さらに腸管免疫は最近見直されて大いに話題となっている“自然免疫”が事前に活躍していることがわかって来ました。
体内に侵入してきた病原菌に対して、小腸の上皮細胞の受容体が働き、ここから抗菌物質を分泌するのだそうです。


これが自然免疫で、腸内の乳酸菌などが腸管免疫を活性化させる自然免疫の受容体を刺激するのです。
この刺激により、病原菌の増殖を抑えるサイトカインが分泌されて、抗菌物質が分泌される働きが解明される・・・との研究報告があるのです。

この研究は大阪大学の研究グループ(審良静男教授ら)によって解明されたもので、現在10種類の受容体(トータルライクレセプター)が解明されているのだそうです。

■腸内細菌の働きで、血管や腸管の炎症を克服・・・
血管の老化は、過剰なコレステロールや血栓の付着で炎症が生じているケースが殆どです。
血管以外にも体のあちこちで炎症が生じているのですが、免疫力を強化し、持続するためには腸管の炎症性向を常に取り除いてくれる食養生が欠かせません。

近年腸管免疫が話題となっていますが、腸の炎症は免疫力を低下させ、膠原病などの自己免疫疾患や潰瘍性大腸炎、アレルギー疾患、感染症、動脈硬化など病気の罹患率が目立ってアップする事が判ってきました

専門的には、腸内のTh17細胞と呼ばれる免疫細胞が病原菌をやっつける際に炎症を惹き起こします。制御不能になると自らの細胞を傷つけ炎症を起こすのです。

この炎症を制御する免疫細胞が制御性T細胞で、この細胞の活性化に関わっているのが、なんと腸内細菌なのです。
腸内細菌が産出する酵素に炎症を抑制してくれる働きがあるのです

腸管内の炎症を抑制することで、体内の組織や器官、臓器の炎症を少なからず抑えることに役立つのです。
腸管壁がキレイに整うことで粘膜からの粘液分泌が円滑に作られます。さらにこの効果は、カラダのほとんどの管内組織より分泌される粘膜液が整い、外敵を排除する免疫力がアップすることになります。

腸管免疫力の向上と各器官の粘液分泌の向上、白血球やリンパ球の充実によって免疫の最適化現象を実現することにつながります。
腸内細菌を充実させる食養生法が如何に大切かご理解いただけると思います。

やはり腸内の環境を健全に整えることは、健康養生には欠かせない法則のようです。

■参考図書
・人の健康は腸内細菌で決まる   光岡知足著/技術評価社
・健康長寿のための食生活  光岡知足著/岩波アクティブ新書
・腸は考える  藤田恒夫著/岩波書店・
・病気にならない、太らない・食べ方の習慣 済陽高穂著/だいわ文庫